2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

中川淳一郎「ウェブを炎上させるイタい人たち」

著者は「ウェブはバカと暇人のもの」でわりと名を知られた中川淳一郎。「ウェブはバカと暇人のもの」「今ウェブは退化中ですが、何か?」に続く、「ネット叩き」第三弾となる書籍であり、ネットがバカと暇人の巣食う「居酒屋」に過ぎないことを強調する路線は…

三島由紀夫「午後の曳航」論4理想主義者と冷笑主義者と無神論者と

9/14大幅訂正。なにがなんだか分からない。 *1 明徹な炯眼とペシミスティックな無神論、それが早熟なこの一団、特に「首領」の形容と言えよう。そんな彼らにとって、かの船乗りが自分を男らしさの極致へ追いつめてきたあの重い甘美な力を振り捨て、爛れるよ…

三島由紀夫「午後の曳航」論3日常は理想の夢を見る

つくづく自分が船乗りの生活のみじめさと退屈に飽きはてていることを発見していた。彼はそれを味わいつくし、もう知らない味は何一つ残されていないという確信をも持った。それ見ろ! 栄光はどこにも存在しなかった。世界中のどこにも。北半球にも南半球にも…

三島由紀夫「午後の曳航」論2少年は物語を夢見る

中学生の登は、父をすでに幼少に亡くしており、それ以来、未亡人の母の流麗な包容に取り囲まれていた。これによって、彼は、母性の攻囲(これについては後述する)の一方で、きらきらした、別誂えの、そこらの並の男には決して許されないようなあの光栄なる…

三島由紀夫「午後の曳航」論1父の背について

あらすじ 船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実の挑戦であった。登…