- 作者: エドワード・モーガンフォースター,Edward Morgan Forster,瀬尾裕
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1994/04
- メディア: 文庫
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「インドへの道」は、異文化との接触による感覚のひずみがもたらす陥穽を、アデラ・クウェステッドとムア夫人という二人のイギリス婦人の経験を借りて剔出している。その陥穽とは、新鮮な経験によってこれから待ち受ける人生を試そうとする純真な人間がとりつかれる可能性への予感というものが、異国の地に足を踏み入れたときにこれまでにない惑乱を受け、手ひどい敗退を喫したという挫折の苦みを味わったあとで、同国人の仲間たちとともに異国の風土を眺めおろす場所へと逃げ帰ることにより、諦観と寛容という見かけを装った、典型的な偏見へと回収される罠のことである。